腕時計に関する知識

「なぜ時計はスイス製が多いの?」少々マニアックな腕時計の10の豆知識

今日は、これを知ってたら上級の時計好きに認定されちゃう?時計に関する豆知識をご紹介します。

自称時計好きでも、「なんで時計はスイス製が多いの?」と聞かれても答えられる人は少ないと思います。

そんな方に、少々マニアックですが、知っていたらかっこいい!かもしれない豆知識を伝授します。

それでは早速いきましょう。

①「マニュファクチュール」って何?

一昔前までは、スイスの時計界では、「水平構造」といわれる分業制で時計を製造していました。この水平構造とは、時計の各パーツごとに専門に作る専門メーカーが存在し、そのパーツを専門メーカーから購入し組み立てムーブメントを組み立てる完成品メーカー(=エタブリスール)が連携して時計を製造していました。

一方、ほんの一部のパーツを除き、自社で一貫生産体制をとる完成品メーカのことを「マニュファクチュール」と呼んでいます。代表的なマニュファクチュールといえばパテックフィリップやジャガールクルトが有名です。

②「エボーシュ」て何?

エボーシュとは、パーツを専門で作る専門メーカーからのパーツ供給を受け、ある程度完成したムーブメントを作り、さらに完成メーカーに供給していた半完成品ムーブメント製造メーカーのことをエボーシュと呼んでいました。

現在では、ムーブメントを専門で作るメーカーのことをエボーシュと呼び、代表的なエボーシュとしてETA社があります。

③どうして時計といえばスイス製なの?

時計といえばスイスですよね。元々他国で創業されたメーカーも本拠地をスイスに移していることからも、スイスは時計の聖地であることがわかります。ではなぜなのでしょう。

元々時計の製造が盛んだったのはイギリスやフランスでした。しかし、スイスにおける時計の生産が盛んになったきっかけは、16世紀初めからヨーロッパ全土に大きな影響を及ぼした宗教革命でした。

宗教革命は、1517年に北ドイツで起きたローマ教会体制批判運動を発端にして、300年にも及ぶ宗教紛争に発展しました。

一旦は治りかけた宗教紛争ですが、17世紀に入った頃、フランス国内の宗教紛争を機に、フランス国内に多くいた時計職人を多く含むカルヴァン派(改革派)は亡命を余儀なくされたため、ジュネーブなどのスイス国内に移り住みました。さらに、スイス国が、時計産業や時計職人を支援したこともあり、この17世紀からスイスにおける時計産業は発展することになります。

18世紀になり、元々時計製造大国であったイギリスとフランスはマーケティング(上位階級ばかりを意識した時計作り)に失敗し、徐々に衰退していきました。対していち早く一般大衆にのニーズに合った時計作りや分業制の導入をしたスイスがますます時計製造を発展させたのでした。

このままスイスにおける時計産業は発展し続け、クオーツショックを乗り越え現在に至ります。

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③ムーブメントの装飾には名前がある

高級時計のバックスケルトンの時計をお持ちの方は画像の装飾模様をみたことがあると思います。

それぞれに名前があることを知っている方は、結構な時計マニアだと思います。わかりますか?

A:ペルラージュ・・・真珠をイメージした円形の装飾

B:コート・ド・ジュネーブ・・・帯状の装飾で19世紀後半に普及したもの

今回はグランドセイコーのムーブメンをを例にしましたが、50万円前後の時計でこれだけ美しいムーブメントを完全自社で作ることができるSEIKOの実力は、なかなかのものであると改めて思います。

装飾には他にもエングレービング(彫刻を施す装飾)などがあります。



⑤女性の時計が小さかった理由

画像は1950年代のIWCの広告の画像で、右がメンズで左がレディース時計ですが、明らかに今よりレディースのサイズ感が小さいのがわかると思います。

さらに少し前までは、文字盤を手首の内側にして時計を着ける女性を見かけたものです。

1970年頃までは、女性はなるべく目立たないようにする当時の風潮や偏見があり、文字盤を手首の内側に向けて着用するのも、女性は慎ましやかにみられるべきという考え方が根付いていた現れなのです。

もちろん今ではそういった風潮や考え方はほとんど払拭され、女性でも35mm前後の直径の腕時計をしていてもなんらおかしくない時代にはなりました。

⑥時計を左手にする理由

これか以下のような説が有力です。

  • 時計は精密機器で壊れやすいので、より動きの少ない利き腕と反対側に装着するようになった。
  • リューズを利きで操作するため、自ずと左手に着けるようになった。

まれに右手腕の腕時計でリューズが向かって左側に配置されたものもあります。また好みであえて右腕に装着する人も稀に見えます。

⑦ダイバーズウォッチの防水性能には2種類ある

JIS(日本工業製品規格)ではダイバーズウォッチを

  • ①第一種潜水時計(空気潜水用)
  • ②第二種潜水時計(飽和潜水用)

に分類して性能の定義づけを行っています。

例えば同じ200m防水と表記されたダイバーズウォッチでも上記の2種類が存在し、ヘリウムガスを使用した潜水に対応できるのは②第二種潜水時計(飽和潜水用)だけとなる。

つまり、空気ボンベを使用したダイビングであれば①第一種潜水時計(空気潜水用)で事足りるが、潜水病対策が必要となるような潜水をしようとすると②第二種潜水時計(飽和潜水用)が必要になるということです。

⑧ヘリウムエスケープバルブはなんのためにある?

ヘリウムエスケープバルブとは、深海に潜水していたダイバーが浮上する際、時計内圧力の急激な上昇により時計の破損を防止するために、時計内(気体)圧力を外に逃すためのバルブです。飽和潜水用の時計には装備されていることが多くなっています。

開発のきっかけは、あの有名なダイビングウォッチであるロレックスサブマリーナを装着し潜水していたダイバーが、浮上した際に時計内部の気体が膨張し時計が破損してしまうという事故を起こしたことをきっかけに、フランスの潜水専門会社であるCOMEX社と共同でヘリウムエスケープバルブが開発しました。

そのヘリウムエスケープバルブを装備したロレックスの市販版がシードゥエラーですが、ロレックス以外でもヘリウムエスケープバルブを装備しているダイバーズウォッチはいくつかあります。しかし私が以前所有していたIWCのアクアタイマーは2000m防水でありながらヘリウムエスケープバルブを装着せず、ケースの頑丈さやガラスの厚さで内圧の上昇にも耐える、という男前なダイバーズウォッチも存在します。

⑨耐磁性能の性能区分

ダイバーズウォッチの基準同様耐磁性能にもJISやISO(国際標準化機構)の定義付けがあります。これはJISの定義ですが、

  • ①第一種耐磁時計・・・直流磁界4,800A/mに耐えられる基準で、磁気製品に5cmまで近づいても故障しない性能を有する
  • ②第二種耐磁時計・・・直流磁界16,000A/mに耐えられる基準で、磁気製品に1cmまで近づいても故障しない性能を有する

一般的にはケース内部で、鉄製のカバーでムーブメントを時期から保護する仕組みなどが用いられます。

代表的な時計として、ロレックスのミルガウスやIWCのインヂュニア(エンジニア)などがあります。

⑩クロノメーター検定機関は日本にもあった

高性能時計の登竜門であるクロノメーター規格は有名ですが、検定期間はスイスのCOSCだけではなく、

  • フランスのCETHEOR(ブザンソン天文台)
  • ドイツのWEMPE(グラスヒュッテ天文台)

にも検定所があるのです。実はかつて日本にもありましたが、需要が少なく1980年代に検定業務をやめています。

最後に

ちょっとだけマニアックな豆知識を紹介しました。ほとんど知ってたよ!って人はかなり上級の時計好きだと思います。

これらの豆知識、時計好き同士の話の中なら、喜んでもらえたり、関心される可能性はありますが、私の経験上、女性にこれらを言っても大体「へー…」の一言で終わるか、完全にスルーされる可能性が高いので、自分から言うのはおすすめしません。女性から「なんで高級時計はスイス製なの?」とか聞かれた時限定で、「あー、それね……..」だよってさらっと答えるようにしましょう。

さて、今回も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

今回の他にパテックフィリップの凄さを紹介した記事もありますので、こちらもご覧いただけると、また一つ時計通になれますので是非ご覧ください。記事はこちらからどうぞ。



ABOUT ME
すんすん
高校生の時に図書館で「男の一流品図鑑」を見たことがきっかけとなり、以降時計収集の趣味に目覚める。これまで所有した機械式腕時計は100本以上。過去の成功や失敗を生かし「後悔しない時計選び」をアドバイスさせていただきます。 ・古物商資格(時計・宝飾品石商) ・潜水士

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  4. […] ※コートドジュネーブに関しては、こちらの記事に説明があります。 […]

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