腕時計の素材をそこまで気にする人は珍しいのかも知れませんが、腕時計の傷が気になる人や、重さが気になる人、アレルギーをお持ちの人などは、素材ベースで腕時計選びをすることも時に重要になります。
本日は、腕時計に使われる一般的な素材の特徴などについてお伝えしたいと思います。

傷が気になる=硬度。腕時計の素材ごとの硬度はどれくらい?
素材 | ビッカーズ硬度(HV) |
ステンレス(SUS316Lや904L) | 約200 |
チタン合金(グレード5など) | 約270〜300 |
金(18K・18KWG) | 約150 |
プラチナ(pt900) | 約110 |
セラミック | 約1000 |
銅 | 約90前後 |
硬度は断トツにセラミックが高いですね。ただし、一般的に硬度は高ければ高いほど「粘り」つまり割れにくさと相反するものになりますので、硬いからといって耐衝撃性までが高いとは単純には言えません。
チタン合金も高い硬度がありますが、純粋なチタンの状態では、ステンレスより硬度は低くなりますので、アルミなどの別素材を混ぜて合金とすることで、硬度を上げています。
個人的な感覚の話をすると、チタンは傷が付きやすいが打痕になりにくく、金や銅は傷も打痕もつきやすい、スレンレスはいずれも平均的な気がします。プラチナやセラミックは所有したことがないのでわかりません。
重さが気になる=比重。腕時計の素材ごとの比重はどれくらい?
素材 | 比重(水の比重は1) |
ステンレス(SUS316L) | 7.98 |
チタン合金(グレード5など) | 4.43 |
金(18K・18KWG) | 14.48 |
プラチナ(pt900) | 19.9 |
セラミック | 4前後(製法等による) |
銅(ブロンズ) | 8.96 |
軽さはチタンとセラミックが優位です。両者ともに一般的な素材であるステンレスの約半分ということになります。時計の重さを機にする人にはお勧めな素材です。
アレルギー=対アレルギー性。対アレルギー素材について
素材 | 対アレルギー性 |
ステンレス | △ |
チタン | ○ |
金 | ○ |
プラチナ | ○ |
セラミック | ◎ |
銅 | △ |
ここに挙げた素材は基本的にアレルギーを起こしにくい素材と言われていますが、注意しなければならないのが、時計の素材が「合金」であったり「混ぜ物がされている」場合が多いということで、金属アレルギーの方はその「混ぜ物」に反応してしまう場合もあります。混ぜ物をしていない純粋なセラミック時計であれば非金属になりますので、アレルギーを起こすことは皆無と言って良いでしょう。
価格=素材の価格+加工コスト。素材ごとの価格について
素材 | 価格(参考値、記事執筆時) 加工費 | |
ステンレス(SUS316Lや904L) | 約230円/kg 比較的安価 | |
チタン合金(グレード5など) | 約1,000円/kg 比較的高価 | |
金(18K・18KWG) | 約5,280,000円/kg※ 比較的安価 | |
プラチナ(pt900) | 約4,185,000円/kg※ 比較的安価 | |
セラミック | ?(加工代が主?) 比較的高価 | |
銅 | 約1,000円/kg 比較的安価 |
上記の表は各素材の材料費をkgあたりで表したものです。(記事を書いた日時点の参考値)
金やプラチナは元々超高価な素材ですし、硬度を確保するための混ぜ物も超高価なパラジウムなどを使っているため、更に高価な素材になってしまいます。
時計の素材に使われる重量を考えれば、金やプラチナを除いて、他の素材は「混ぜ物代」や「加工代」が主になると考えて良いと思います。しかし、ステンレスに比べチタン加工やセラミックケースの作成には新たな設備投資やより高いコストを要しますので、その分が時計の価格に反映される形となります。
素材ごとのメリットとデメリット ①ステンレス
ステンレス・・・言わずと知れた、腕時計でもっとも一般的な素材。硬度、重量、対アレルギー性、価格のどれを取っても平均的であり、素材の採用率は昔も今も断トツの一番です。研磨がし易いことも特徴です。
一般的にはSUS316Lが使われますが、ロレックスや一部のメーカーは904Lと言われるさらに耐腐食性能や対アレルギー性能を向上させた、スーパーステンレスを使用して付加価値を増しています。
デメリットはこれといって無いですが、あえて言うなら全てが平均的で特徴がないことでしょうか。

素材ごとのメリットとデメリット ②チタン
チタン・・・一番のメリットは軽さと対アレルギー性です。デメリットは、加工が難しいことが価格へ反映してしまうことと、独特の黒っぽい色味です。混ぜ物で、よりステンレスに近い色味にもできますが、やはりネックは価格ででしょうか。

素材ごとのメリットとデメリット ③金・プラチナ
金・プラチナ・・・貴金属素材は、華やかさの演出と資産価値が一番の特徴で、対アレルギー性にも優れていることもメリットですが、購入時は高く、重量は重く、硬度が低いため傷や打痕が付きやすいことが人によってはネックになります。
個人的には、無垢も良いですが、素材の良い部分同士を融合した「コンビ」という選択もアリだと思います。

素材ごとのメリットとデメリット ④セラミック
セラミック・・・対アレルギー性、傷がつきにくい、軽いと一見非の打ち所がない?ように見えるセラミックの一番のデメリットは、硬度が高すぎることによる(粘りがない)割れる(欠ける)可能性があるということです。傷がつきにくいのは間違いないみたいですが、衝撃が一点に集中した際には、割れたり欠けたりする可能性が高くなります。

素材ごとのメリットとデメリット ⑤銅(ブロンズ)
ここ10年くらいですっかりメジャーな素材になったブロンズ素材の時計の特徴は、まずなんと言っても「エイジング」です。最初はビカビカの10円玉も数年経てば、黒っぽく変色しますよね。それと同様に使用や経年により色が変化し、唯一無二の「アジ」を出していけますので、ヴィンテージのアメカジなどとも相性が良いでしょう。
反面、少々重い、素材が柔らかいので、打痕跡になりやすかったり、10円玉のような匂いが気になる方も少なからずいるようです。色々な意味でなんとも男らしい素材であることは間違いなさそうなので、逆に女性にはあまりお勧めではありません。
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まとめ 一番優れた素材は・・・
各素材の特徴を総合的に考えると、やはり現在においてももっとも普及しているステンレスはよりバランスが良く優れた素材であることは間違いないと思います。特にロレックスが採用している904Lは、ステンレスのデメリットをさらに補ったより優れたステンレス素材ですよね。
あと他の素材に関しては、それぞれのメリット・デメリットを理解した上、腕時計を選ぶ方が、どこに付加価値を見出し、ウエイトを置くかによって素材選びをすれば問題はないかと思います。
しかし最後に一つだけ注意していただきたいことがあります。これまで身につけたことのない素材を新たに取り入れようとした場合。これまで知らなかった自己のアレルギー反応を引き起こすことがあり、せっかく高いお金を出して、購入した時計が使えず直ぐに手放すことになってしまう可能性もあるのです。ですので、新たな素材の時計を買うときは予め金属アレルギーの試験を受けるなど、慎重に検討してくださいね。
時計の傷が気になる方は、この記事をお読みください。