腕時計の実機レビュー

SBDX017の2本目を追加購入。その実力やデメリットとは?



数ヶ月前に購入したSBDX017、通称MM300。「実用時計」として、かなりの高頻度で使用した結果。相当な「お気に入り」となってしまい、なんともう一本買ってしまった。

もう一本追加購入した理由は、

  • 絶版なので今後状態の良いものは入手困難になると感じた。
  • 1本目の使用頻度が高く、劣化していくことに不安になった。
  • 価格が高騰している中、「ほぼ未使用」が比較的安く売っていた。

などです。

というわけで、「ラバーベルト仕様」と「ブレス仕様」の2本体制となった。

今回は、数ヶ月使って、もう一本買ったことを踏まえて、この時計のことがよくわかってきたので、改めてメリットやデメリットをレビューとともにお伝えしたい。

まずは、SBDX017のメリット

①「飽和潜水時計」という並はずれた信頼性・・・「飽和潜水」とは、通常の「空気潜水(スキューバダイビング)」とは異なり、より深く、より長く海底で作業などを行うため、人をあらかじめ加圧装置に入れ、人体を加圧状態に慣れさせた状態にしてから潜水を行うもの。このSBDXは公に「飽和潜水時計(第二種潜水時計)」を名乗っている。つまりは、「ガチのプロ用」ってこと。同じ300m防水のダイバーズでも、本気度や信頼性は一般的なものの数段上をいく性能を持ち合わせている。

②フラッグシップムーブメント「8L」・・・SEIKOでは最高峰となる、雫石高級時計工房で作られる8L 35は、あのグランドセイコー9S系ムーブメントと基本構造を同一とする。信頼性、耐久性、精度のどれをとってもレベルはかなり高い。実用ムーブメントであっても十分に美しい。まあ、裏蓋のないSBDX017で、内蔵する8L 35にお目にかかれることはまずないが。

③なんとも言えない外観・・・「ごつカワ」という言葉が似合う。人により感じ方に差があると思うが、見た目に、デザイン的要素はほぼなく、機能美がほとんど。分厚く、ゴツく、無骨な時計でありながら、夜行インデックスや、ベゼルの数字、ルミナスポイントなど「丸」が多く、その部分がゴツさや無骨さとうまく調和して、全体的になんとも言えない良い雰囲気を醸し出している。「カッコイイ」「洗練されている」「スマート」という言葉は全く当てはまらないが、逆にそれがこの時計の持ち味。車で例えると、ランクル70的な時計ではないかと思っている。

「X」マークがなく「marine master 300」表記となる点は、この017の最大のアイデンティティーであり、他の同型現行モデルを差し置いて、このSBDX017を敢えて買い求める理由となる。



意外と少なくないSBDX017のデメリット

①正直仕上げが微妙な部分がある。・・・具体的には、ケースの普段目に見えない部分。画像の通りここら辺までもう少しスムースに仕上げてほしい。また、夜行インデックスの塗料の「盛り」が明かに歪(いびつ)なことが肉眼でも観察できる。高いコスパの代償は少なからずあるようだ。

②バックル部分の質感が微妙・・・ちょっとここは質感が高くない。これも仕上げと同様にコストダウンを図らざるをえなかった部分でしょう。具体的には表面処理が甘く、金属面が均等かつ滑らかでない点。また、「板」を曲げて構成されるので、ロレックスのような塊感や削り出し感はなく、その辺りは鑑賞に耐えない部分。ロレックスのサブマリーナなら、同じ実用ダイバーズウォッチでありながら、細部まで完璧な仕上げがされている。そこと比べるとSEIKOの質感は遥か及ばない。もちろん価格は3分の1。それでありながら、サブマリーナに優っている部分もあると感じている中、それでももう少し頑張ってほしいところである。エクステンション機構の伸び幅は大きく、実用性は高く良好。

③重い・分厚い・・・ここは「飽和潜水時計」を考えれば、ある程度許容できるが、とにかく重い。ブレス仕様は200g、ラバー仕様で138g。ラバーの方が軽いが、その質感もあり、装着感はブレス仕様に劣る。厚みは15mmと異常な厚さではないが、ケース形状もあり、数値以上に厚く感じる。バックス部分も分厚いので、シャツ袖の収まりは正直よくない。まあそもそも、スーツに着ける時計ではないので、これは正当な評価ではない。



デメリットを差し引いても「良い時計」

メリットとデメリットを紹介したが、改めてみると意外とデメリットが多い気がする。しかし、私が2本購入するほど魅力的な時計であることは確かで、「ハマる人にはハマるコアな時計」「万人にはウケる時計ではない」かもしれない。

デメリットも理解した上、見た目と雰囲気に抵抗がなければきっと買って後悔することはないはず。

逆に、「スマートでカッコよくて、ステイタス性が高くて、付けごごちがいい時計」「ロレックスのような質感を求めたい」などをお求めな方には逆におすすめしない時計となる。

017以外で買える同型モデルたち

SBDX017は少々入手困難モデルになりつつある。その大きな要素として「X」マークが無いことが挙げられるが、逆に「X」マークが気にならないのであれば、選択の幅がかなり広がる。

【現行】

①SBDX023・・・SBDX017の正当な後継機

②SBDX025・・・SBDX023の色違い(ブルー系)

【絶版】

①SBDX017・・・少々入手困難かつ高額化しているのでほしい方は早めの購入をおすすめします。

②SBDX043・・・SEIKO140周年記念の限定品、文字盤が深いグリーンでかっこいい。

③SBDX021・・・こちらも結構レアだけど価格は高騰していない。043より明るいグリーンで、ベゼルも同色となる。グリーンサブのような雰囲気。



ABOUT ME
すんすん
高校生の時に図書館で「男の一流品図鑑」を見たことがきっかけとなり、以降時計収集の趣味に目覚める。これまで所有した機械式腕時計は100本以上。過去の成功や失敗を生かし「後悔しない時計選び」をアドバイスさせていただきます。 ・古物商資格(時計・宝飾品石商) ・潜水士

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