良いものを長く使うと言うのは、お金がかかる。
時計で言えばオーバーホール費用、服はクリーニング代、靴はシュークリーム代やソールの交換が必要ですし、それらは古くなればなるほどメンテナンスに費用や手間が必要になります。
でもその対価として、長く大切に使ったモノたちには愛着や歴史や独自の価値を得ることができるのです。例えば、「この時計は、祖父が若かりし頃買った時計。」という歴史は、真似したくて大金を積んでも、今日明日で作れる歴史ではない。何十年と使った時計の傷は同じものが2つと存在しない自分の完全オリジナルに仕上がっているはずですし、新品の時よりも愛着や思い出が詰まっています。これらがそのモノの独自の価値になるのです。
こんな話を聞いたことがあります。外国でメルセデスベンツを盗難された紳士が、「ベンツはくれてやるから、トランクに入っていた2足のジョン・ロブだけは返してくれ。私の足に完全にフィットする状態に育てるまで何年かかったと思ってるんだ。」と嘆き悲しんだという話。新車のベンツはその代わりがお金で買えるが、自分が何年もかかって育てた2足のジョン・ロブはそれを超える価値があるということ。
私も靴や時計が好きですが、決して経済的に裕福ではありません。洋服だって高級ブランドのものは、ほぼ買ったことがありません。でも服も靴も時計も良いモノは好き。だからこそ私のセレクトはいつも、長く使えるモノや変わらないモノなんです。洋服も流行りに左右されない長く着られる服、靴も同様に手入れすれば長く使える靴を選ぶようにして生きてきました。機械式時計が好きなのもそういった意識から来ているのです。
まず服や靴などについては、リセールはほとんど考えません。服や靴はそもそも持ち主の痕跡を強く残しますし、余程のことがない限り、価値は大幅に下がりますので、余程ないですが、もし不要になった際は身内に譲るか、二束三文覚悟でリサイクルショップに持っていきます。ですので、ある程度の値段の服や靴を買う際はこんなことに注意しています。
1 10年後の自分の年齢になっても着ること、履くこと、着けることができるか
2 そのモノに歴史的背景や伝統はあるか
3 素材や縫製・製法に妥協はないか
4 サイズ感や色は流行に左右されないか
5 何かの真似ではないか
6 メンテナンスにより長く使えるか
といったところで、ある程度流行の服や消耗品を買う際は、いわゆるファストファッションブランドのセール等を利用して購入しています。
時計については、他の記事でも似たようなことは書いていますが、上記の6つに加え、
7 孫の代でも使える不変的価値はあるか
8 ある程度の資産価値はあるか
これらは、良いモノは好きだが、サラリーマンである程度収入が限られた私故にたどり着いた考え方かもしれませんが、収入が高かろうが、低かろうが、モノを長く使うということは決してダサいものではないですよね。もし、せっかくお金を出して買うのであれば、長く大切に使いたいと思われる方は、少し参考にしてみてください。