時計界の頂点に君臨するはパテックフィリップ【以下「パテック」】ということは、時計好きなら誰でも知っていると思いますが、じゃあ何がそんなにすごいの?って聞かれて困ったことありませんか?

たぶんパテックの凄さって、一言では簡単に語れないからこそ、何百とある時計メーカーの頂点に君臨し続けることができているわけで、ここでその全てを語ることは、ほぼ不可能であるのと同時に、ここでそれを試みてもただのパテックのホームページの引用だらけになってしまうので、誰でもわかる代表的な部分をいくつか紹介させていただくことにします。
それでは順番にみていきましょう。
凄さ①パテックフィリップシールによる品質補償
パテックフィリップシール【以下「パテックシール」】とは、パテックが独自で定めた品質補償のようなもので、とにかくその審査項目が多くて中身も厳しすぎる基準です。
2008年まではジュネーブシールという品質補償で、テスト時間が600時間かつ厳しい基準をクリアしたパテックの時計に紋章との文字(GENEVE)が刻印がされていましたが、2009年以降には、そのジュネーブシールを超えるさらに厳しい基準であるパテックシールに変更され、刻印も「PP」となりました。※画像で丸で囲んだ刻印です。

このパテックシールは2009年以降の全てのパテックの時計に適応されているのですが、パテックシールの凄いところは、ムーブメントはもちろん、ケースや針、その時計全体に適応されているというところです。
間違いなく時計界で、最も厳しい基準ですが、これにより世界一の品質の時計を生み出しています。
凄さ②冷間鍛造で作られたいつまでも美しいケース
ケース素材で有名なのがロレックスの904Lステンレスの採用ですが、パテックは素材はもちろん製法にとんでもない手間をかけています。
一般的な時計のケースは、金属の塊からケースを削り出して作られることがほとんどですが、パテックは金型に溶かした金属を流し込んで、それを強い圧力で圧縮するという、「冷間鍛造製法」で全ての時計ケースを作っています。
これが何がすごいかって、全てのケースごとに金型をゼロから作っているわけで、通常の削り出しよりもとんでもなくコストと手間がかかっているということになります。

これにより金属の密度は極めて高くなり、表面を磨いた時に歪みの無い、いつまでも美しいケースが生まれるのです。時計の美しさにただならぬ拘りを持つパテックは、ケースに至るまでコストと手間を惜しみなく注ぎ込んでいるのです。
とにかくパテックのコンセプトとして品質が良いことはもちろん、一生どころか孫の代まで使える時計であることに強い拘りを持っていることが分かります。
凄さ③最高の技術で作られる芸術領域の完全自社製ムーブメント
「自社製ムーブメント」このキャッチコピーは10年くらい前から特に多くなりました。
少し前まではETAなどのエボーシュから供給してもらったムーブメントをチューニング、もしくはポン載せして時計を売るメーカーが多かったですが、「ETA2010年問題」により各メーカーが一斉に自社製ムーブメンをの開発に力を注ぎ始めました。
そこから「自社製ムーブメント」が一流メーカーの証みたいな風潮にもなっていますが、実は「自社製ムーブメント」の定義にもさまざまな捉え方があるようで、自社製ムーブメントの中にも実は○○ムーブメントをベースにしているとか、子会社の○○ムーブメントを使用し、みたいな厳密にいうと自社製なのか?というその定義自体が微妙なメーカーもあるみたいです。
そんな中、パテックは全くの疑いもなく完全に自社製です。しかも圧倒的な技術力でミニッツリピーターなどの超複雑機構を誰の手を借りず、超クオリティかつ超芸術的に作り上げることが可能です。
しかし、パテックの全ての時計が完全自社製になったのは意外に最近の2006年以降なんです。それ以前、クロノグラフなどにヌーベルレマニア(旧レマニア)から供給されたムーブメントをベースに使っていたのですが、2006年に完全自社製クロノグラフムーブメントを開発してからは、間違いなく完全自社製となりました。

↑これがレマニアに代わり自社開発された手巻きクロノグラフムーブメントCHR 29‑535 PSで、当時6つの特許を取得しました。
このことを知ると、パテックにムーブメントを提供していたレマニアもすごいと思ってしまいますね。
結論を言うと、パテックフィリップは、完全に自社で、超複雑機構はもちろん、三振からクロノグラフ全てにおいて世界最高品質の芸術的なムーブメントを作ることができる世界最高の技術力を持っています。
ここで、「じゃあロレックスは?」と思う方がいるかもしれないので、私の認識でお伝えすると、ロレックスは自分たちが最高でいられる範囲にしっかり線を引いてその中で、最高の時計作りをしていると捉えています。つまり、自分たちが作る時計と作らない時計をしっかり区別していると言うことであり、装飾的なムーブメントや3大複雑機構には手出しはしません。
凄さ④100年前の時計も修理可能、全てのパーツをストックしている
これは結構有名な話で、パテックはどんな古いモデルであろうとも、全てのパーツをストックしており、例え製造から100年経過したモデルでもパーツ交換やオーバーホールに対応してくれるんです。
あのロレックスでも、リファランスが4桁はもちろん、古いモデルはオーバーホールに対応できないことから、このパテックの神対応の凄さが分かります。
しかし、さすがに全てのモデルの全てのパーツのストックは無い場合があるようで、その際は新たにパーツを作り対応するそうで、逆に驚きですよね。
ただ、以前、私の知人が故障したカラトバラを修理に出したところ、スイス送りになり、修理代金が50万円近くになったことを聞くと、少しおじけづいてしまいます。通常のオーバーホールはシンプルなモデルでしたら10万円台前半でもできるそうなのですが。

加えてパテックは機械式のみでなく、クオーツモデルのサポート体制も充実しており、一般的なメーカーではムーブメント総取り替えとなる場合が多いが、パテックはちゃんとクオーツもオーバーホールしてくれるんです。
グループに無所属 何にも影響されないカリスマ性
時計の3大グループといえば、
①スウォッチグ(オメガ、ブレゲ、ブランパン、ロンジンなど)
②リシュモン(カルティエ、IWC、バシュロン、Aランゲ&ゾーネなど)
③ LVMH (タグホイヤー、ゼニス、ブルガリなど)
ほとんどの時計メーカーが、広告などのコストを抑えたり、技術を補い合うため、メーカー自体の存続のため、このいずれかに所属しているのが現状です。
ちなみにあの三大時計の1つ、バシュロンでさえもリシュモングループの一員になります。そん中、パテックは数少ないグループ無所属のメーカーとして誰にも口出しされない、独自経営を続けているのです。

他にもグループに所属していないメーカーとして、ロレックス、セイコー、シチズン、リシャール・ミル、APなどがありますが、パテックの凄いところは、パーツやムーブメントの製造からその全てを誰にも頼らず自社で完結しているところです。
まとめ
パテックの凄さの一部をご紹介させていただきましたが、パテックが時計界の頂点である理由が少しお分かりいただけたと思います。
しかし、パテックの本当の価値を知るにためは、まず自身が所有し、孫の代まで引き継いだ時に初めてわかるのかもしれません。
ただ、私の感じるパテックの唯一ダメなところ、それは頑張っても買えないってことです。(泣)
いくらお金を貯めても、ノーチラスやアクアノートなどの人気モデルを定価で正規店で買うことは、ロレックス以上に困難な状況です。
10年前には正規店に普通に置いてあったのに・・・
でも死ぬまでに買うことを目標に頑張ります!
[…] 今回の他にパテックフィリップの凄さを紹介した記事もありますので、こちらもご覧いただけると、また一つ時計通になれますので是非ご覧ください。記事はこちらからどうぞ。 […]
[…] 孫の代まで使える時計、パテックフィリップの魅力はこの記事をご覧ください。 […]
過去記事をいろいろ読ませていただいています。
非常に勉強になります。
我が家のパテックはオーバーホールは当然できましたが、革バンドを取り替えたいと言ったら、しばらくの間スイス送りとなり再びきれいになって返ってきました。
その上、革バンドについては無料だった…と親が言っています(もしかしたら予め前払いしていたのか、それとも本当に無料だったのかは謎なのですが)。
でもパテックのプライドを考えると「時計本体でない革バンドごときの交換は何でもないことですよ!」と言いそうな気もします。
凄いメーカーですね、パテックは…
いつもご覧いただきありがとうございます。
お母様のパテックフィリップ、革バンド交換費用がかからなかった?かもしれないとのことで、もしそうであればパテックフィリップの「サービス」なのでしょうか・・・
いずれにしても家宝がきれいになって戻ってきてよかったです!
個人的にはOH費用がいくらかかったか興味があるところです。知人のカラトラバがスイス送りになった際はたしか40万円ほどかかったと聞いた気がします。
またコメントお待ちしております。