腕時計の実機レビュー

KING SEIKOの名機44KS(4420-9990)をレビュー

キングセイコーの通称セカンドモデルをレビューします。

少々前置きもありますが、お付き合いください。

キングセイコー(KING SEIKO)の誕生とファーストモデル

昭和35年(1960年)に当時のSEIKOの「マーベル」や「ロードマーベル」、「クラウン」などといった高級機を手がけていた諏訪精工舎から登場したグランドセイコー(GRAND SEIKO)。そのグランドセイコーに対抗するため第二精工社 (亀戸)で製造を開始することになったのが「キングセイコー(KING SEIKO)」のファーストモデル。このファーストモデルが登場したのが、グランドセイコーのファーストモデルの登場から約1年後の昭和36年(1961年)昭和33年(1958年)に発売された「セイコークロノス」に搭載されたキャリバーに改良を加えたムーブメントを非防水の金張りスナップバックケースに収めていた。なお、前期型はハック機能なし。(後期型にはハック機能が追加された。)


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ここで登場したグランドセイコーとキングセイコーのコンセプトを推察すると

○グランド=豪華な、贅沢な(セイコー)

○キング=王様、最強の、最高の(セイコー)

となる。今となってはセイコーのフラッグシップは、グランドセイコーとなったが、当時はどちらもセイコーのフラッグシップを目指していたと思われる。

キングセイコー セカンドモデル(4420-9990)

前述のファーストモデルか3年後の昭和39年(1964年)にいわゆる「セカンドモデル」が登場する。

ファーストモデルから見ればかなり大幅なリファインが加えられた「名機」が誕生した。

ムーブメントは、あのグランドセイコーの名作「44GS」と同じ、4420B型キャリバーを搭載。そのムーブメントをしっかりと作り込まれたスクリューバック+金獅子のメダリオンも備えたケースに収め、「筆記体chronometer」が表示されたサンレイ文字盤を持つ。

最近では、復刻版が3000本限定で出されるほどで、セイコー自身も名作と認める証拠と言える。


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オリジナル セカンドモデル(4420-9990)のレビュー

これが実質、GS対抗馬ファーストモデルとも思える質感

外観は、これが1960年代の時計とは思えないほどの質感ではないでしょうか。

ケース径は当時の時計としては少々大きめの36.7mm 下方のオメガコンステレーション(34mm)と比べてみるとよりわかりやすいと思うので、参考にしてください。

高級感と上品さを兼ね備えた質感の良さは、洗練されたデザインのポリッシュケース、センスに溢れる文字盤内の表示、ドルフィン針がバランス良く配置されているから生み出されているものと感じることができる。特にこの前期型は「chronometer」が筆記体となっておりよりスマートな印象を受ける。「KING SEIKO」の表示も控え目、亀戸第二精工舎のマークはないが、代わりに配置されるインデックスの素材を表記するマークも控え目ながら良いアクセントになっているし、凸レンズ型の分厚めのプラ風貌は良い意味でこの時計の個性となっている。

立体的なSEIKOロゴとインデックス。針にもインデックスにも夜光塗料を使っていないことが、幸いしてか約60年の時を経ても劣化を感じさせない。ただ、それだけではなくここまで綺麗な状態を保てているのは、この個体の保管状態が良かっただけでなく、当時ちゃんとコストをかけて文字盤を作り込んだことが推測できる。これはグランドセイコーに勝ちたいという第二精工舎亀戸の情熱の現れなのかもしれない。

ムーブメントは裏蓋を開けていないため、観察することはできていないが、27石の4420Bは手巻き、ロービートながら高精度を誇った。ゼンマイを巻き耳を当てると、なんとも言えない心地よい音を奏でてくれる。

ここからはKSセカンドより少々遅れて登場のオメガコンステレーションも比較のため使用

セカンドモデルからスクリューバックを採用し、GSと同じ金獅子のメダリオンが奢られた。

この個体はシリアルナンバーから1965年の11月製造とわかる。

リューズ

リューズは手巻きということもあり大きめで操作しやすい。

34mmのオメガコンステと比べてひと回り大きい36.7mmはとっても良いサイズ感

私が所有しているオメガコンステレーションは、このキングセイコーセカンドと同時期かその後頃(写真は後期型のため1970年代)に発売されたオメガとこうして比べてみるとその実力の高さがわかる。今でもキラキラ輝くバーインデックスと光の当たり方によって表情を変えるサンレイ文字盤はずっと見ていたくなるほどの美しさがあり、非常に質感の高いポリッシュドケースと相まって名機と言われるゆえんも納得できる。

このころの44GS(グランドセイコー)が欲しくなる。

この「名機」を手にしてみると、やはりそう呼ばれる実力の高さをひしひしと感じさせられ、所有欲を掻き立てられる。と同時に、この後同第二精工舎亀戸で作られることになる「44GS」と比べてみたいという衝動にも駆られてしまう・・・

次の物件は44GSになりそうな予感だが、こちらは「グランドセイコー」を冠しているだけあって人気かつ価格も高騰しておりハードルが高い・・・さあどうしよう。


GRAND SEIKO 44GS Ref.4420-9000 Vintageグランドセイコー44GS 前期型 4420-9000 1967年3月製造 手巻き GS尾錠 オーバーホール済み アンティーク ヴィンテージ 【ブランド腕時計】【PAWN SHOP】【質屋出店】【本物保証】【京都屋質店】

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すんすん
高校生の時に図書館で「男の一流品図鑑」を見たことがきっかけとなり、以降時計収集の趣味に目覚める。これまで所有した機械式腕時計は100本以上。過去の成功や失敗を生かし「後悔しない時計選び」をアドバイスさせていただきます。 ・古物商資格(時計・宝飾品石商) ・潜水士

POSTED COMMENT

  1. すんすん より:

    コメントありがとうございます。お店で15万円ほどで購入しましたよ。前期型の方が相場は高くなっているようです。参考になさってください。

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