1960年のグランドセイコー(GS)ファーストのデビューからGSが一旦消えるクオーツショックまで、凝縮された十数年の歴史をできるだけわかりやすくまとめたいとう思いから、本ページを作成します。購入したアンティークGSの画像なども随時載せていく予定です。少しずつ更新していきます。

GSはモデルネームは基本が数字主体で、見た目の差異が小さい場合が多く(よく見ればケース形状など全然違うと思えてくるのですが、最初は分かりにくい。)、私も特に最初全体像が理解しにくいと感じたためもあってです。
GSの起源や歴史については、書籍やネット上の情報も多くありますので、主観も交えポイントだけを簡単にだけ触れておくと、
- SEIKOに当時多く存在した「シリーズの頂点」を目指し1960年に登場
- 主に諏訪精工舎で製造されたが、後に亀戸(第二精工舎)ものちに参加
- 精度的にも外見的にも当時のスイス時計をかなり意識
- アンティークGS歴史はクオーツ登場までの十数年間にギュッと凝縮されている
- 最も希少なモデルは天文台chronometerか61GSのVFA(very fine adjusted)か
3つのデザイン方針をもとに定義された 9つのデザイン要素(グランドセイコーホームページ)
モデル番号の読み方
GSのセカンドの後半頃から使われ出す、4420-9000のような4桁+4桁のモデル番号の読み方は画像の通りです。

GSの年代ごとの進化
まずは、1960年(昭和35年)に初のグランドセイコー(ファーストモデル)が世に放たれて、クオーツが開発された1969年(昭和44年)少し後まで、つまりグランドセイコーが誕生して、一度SEIKO自らが発売したクオーツ時計による「クオーツショック」により一時衰退するまでの間に発売されたモデルと搭載されたキャリバー(ムーブメント)を一覧にしてみました。表のさらに下には各代表的なモデルの解説と画像を載せていきます。
年 | モデル | キャリバー | 工場 | 振動数 | 巻き上げ | 石数 | 備考 |
1960年(昭和35年)〜 | J14070 | 3180 | 諏訪 | 18000 | 手巻き | 25 | ファースト 生産数36000個 |
1963年(昭和38年)〜 | 43999 | 430 | 諏訪 | 18000 | 手巻き | 35 | セカンド セルフデータ |
1964年(昭和39年)〜 | 4420-XXXX | 4420B | 亀戸 | 18000 | 手巻き | 27 | 44GS 生産数少ない |
1963年(昭和38年)〜 1966年(昭和41年)〜 | 5722-XXXX | 5722A 5722B | 諏訪 | 18000 19800 | 手巻き | 35 | セルフデータ 生産数81000個 |
1966年(昭和41年)〜 | 6246-XXXX | 6246A | 諏訪 | 36000 | 自動巻 | 35 | ウィークデータ GS初の自動巻 |
1968年(昭和43年)〜 | 4520-XXXX 4522-XXXX | 4520A 4522A | 亀戸 | 36000 | 手巻き | 25 | 天文台 chronometerなど |
1968年(昭和43年)〜 | 6145-XXXX | 6145A | 諏訪 | 36000 | 自動巻 | 25 | 61GS |
1970年(昭和44年)〜 | 6185-XXXX | 6185A | 諏訪 | 36000 | 自動巻 | 25 | VFA初期(希少) |
1970年(昭和45年)〜 | 5645-XXXX 5646-XXXX | 5645A 5646A | 諏訪 | 28800 | 自動巻 | 25 | 生産数多い 5646:日・曜日 |
1970年(昭和45年)〜 | 6156-XXXX | 6156A | 諏訪 | 36000 | 自動巻 | 25 | ウィークデータ スペシャル |
1971年(昭和46年)〜 | 6155-XXXX | 6155A | 諏訪 | 36000 | 自動巻 | 25 | カレンダー スペシャル |
1972年(昭和47年)〜 | 6185-XXXX 6186-XXXX | 6185B 6186B | 諏訪 | 36000 | 自動巻 | 25 | VFA後期(希少) 6186:曜日付 |
代表するモデル
①1960年(昭和35年)GSファースト・・・当時既存のムーブメント(12型のクラウン)の規格をより厳格化し、仕上げも徹底的に行なった上、スイスクロノメーター検定に準じた15日間の検査通過を必須とした。セイコー製品としては初の秒針規制装置(ハック機能)を搭載。60年前に発売された記念すべきファーストモデルの現在の相場は20〜140万円と状態の個体差も価格差も大きめ。歴史的かつ画期的なGSなのは間違いないが、14K金張りケースとスナップバックのため、他のスクリューバックのステンレスモデルに比べ少々敷居が高い。
②1963年(昭和38年)GSセルフデータ(セカンド)・・・ファーストモデルの登場から3年で大きく進化したセカンドモデル。日付表示、スクリューバックと50m防水、35石化、金獅子メダリオン、ダイアショック機構とファーストからの進化はてんこ盛り。この43999の後継5722からキャリバー番号4桁−ケース番号4桁の組み合わせへと変わることに。後継機である5722Aとの差は形式番号意外ほとんどない。
③1964年(昭和39年)44GS・・・GSの最高傑作の呼び声高い、今一番人気のある「44GS。」亀戸初のGSは、手巻きのロービートで、デイトなし凸レンズ型のプラ風防がいい味を醸し出している。亀戸で同時に作られた「44KS」もほぼ同じ内容ながらやはり人気はGSが上。個人的には「44KS」の前期は44GSに匹敵するか、もしかしらたそれ以上の魅力があると感じているが。1960年代の国産時計とは思えぬ質感と美しさを持つ。ちなみに「44GS」と「44KS」共に前期型を所有しているが、「44GS」の方はあまり状態がよろしくないので、なんとかしたいと思っています。
4420-9000




【参考】44KS(4420-9990)・・・44GSより少し前に同じ亀戸で作られた44KSムーブメントは同じ4420ながらこちらは「4420B」鎌型のパーツがリューズを引くことで作動しハック機能の役割を担う。キングセイコーを持ってGSに勝とうとした亀戸のプライドと意地を感じる仕上げ、特に前期型は「chronometer」が筆記体と、綺麗に輝くシルバーのサンレイ文字盤が素晴らしい出来栄え。なのにブランド性がGSより劣るからか、相場は44GSの約半額とかなりお買い得。しかし、前期型は球数が少なかったりするので、いい状態の物件が安く売られていたら「買い」なのです。私が買った44KSのレビューはこちらの記事をどうぞ。
【参考】44GS CAP GOLD(4420-9990)※GS・・・44GSのCAPGOLDは、当時、寄せ集めで作った?から通常の44GSとはケースが違う。44GSの文字盤(ゴールドインデックス)と44GSのムーブメントを44KSのCAPGOLD化したケースに入れた奇行種。通常の44GSとはケース形状が異なる。生産本数は通用の44GSよりさらに短い。(44GSの後期のほうに生産された)よって、生産本数はかなり少なく、中古市場でもあまり出回っていない。
4420-9990 CAP GOLD


4420-9990




銀座店【キングセイコー】44KS/後期型/Ref.4420-9990/クロノメーター/1965年製/w-26473gnz
④1966年(昭和41年)GSウィークデータ(6246-XXXX)・・・GS初の自動巻(手巻き機能はなし)は、62GSより先行して発売された「SEIKO」の「セイコーマチック」に搭載された6245Aと同様のキャリバーを搭載している。早送り可能な曜日と日付表示付き。見た目の特徴としてリューズの位置が4時方向に設置されていることが最大の特徴か19,800振動と珍しいビート。
⑤1968年(昭和43年)45GS(4520(4522)-XXXX)亀戸(第二精工舎)の第二弾で44GSの実質的後継機。ハイビート化して、日付表示あり(4522)も選べるようになった。しかし、45GSの中で最も有名なのは「天文台chronometer」だ。現在アンティークGSの中で最も価格が高いと思われる「天文台chronometer」は市販用は73個しか製造されていない。第二精工舎がニューシャテル天文台クロノメーターコンクールに厳選した4520Aに特別な調整を施し出品。すると100個中、73個が45日間にわたる過酷な試験を終え、「天文台クロノメーター規格」に合格したのだ。そして昭和44年10月に73個の「天文台クロノメーターGS」が世に送り出されることになる。
⑥1968年(昭和43年)61GS(6145-XXXX)・・・62GSの進化版。諏訪精工舎製造の自動巻。特徴はケースバリエーションが多いこと。発展版のVFAが存在したり、個性的ケース+文字盤の8020(通称:座布団)や8050といった70年代テイストが強いモデルもラインナップ。VFAの購入記録はこちらさらに曜日表示の有無があったりと種類は豊富だが、その分選ぶ際には迷いも生じる。VFA(very fine adjusted)は「特別調整品」ということで、通常GSの約2倍で売り出された。生産本数、販売本数ともに少なく、かなりレアなモデル。さらに銀(シルバー)とパラジウムの合金で作られた通称「ギンパラ」は幻の一本で、お目にかかること自体が難しい。現在所有するVFA以外にも先日クロノ24(Chrono24)で購入した61GS(6145-8020)もこのVFAのデザインを踏襲しており。針が立体的なインデックスを避けるように短くなっているのが特徴的。いずれも第一次グランドセイコーの末期のモデル。(この後クオーツの登場により、SEIKOのフラッグシップはしばらくの間アストロンとなり、グランドセイコーは休眠状態へ)
【Bランク】Grand seiko(グランドセイコー) VFA 6186-8000-G メンズ 腕時計
6185-8021(VFA)




6145-8050(シルバーダイヤル)




⑦1970年(昭和45年)56GS・・・最も生産数が多いと思われるアンティークGS。例に漏れず、私の実家にも昔、祖父が買ったものがありました。価格も他のGSより安価なので、入門編にいいかもしれません。ハイビートといっても36000振動ではなく28800振動の自動巻は諏訪精工舎製。GSの中で最も個性を打ち消した印象の少々落ち着いた外観です。球数も多く、今のところ価格も落ち着いている印象。少々影が薄いかも。
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諏訪精工舎と亀戸第二精工舎
この2舎、元々はSEIKOの工場としての区分であり、要するに諏訪(長野)工場と亀戸(東京)工場の呼び名が諏訪精工舎と第二(亀戸)精工舎だった。のちに会社化されることになるが、当時はただの工場の違い。しかし、当時、高級品=諏訪精工舎、庶民用=第二精工舎といった区分がされていたので、フラッグシップのグランドセイコーも自ずと諏訪精工舎での企画・製造でスタートすることに。しかし少々皮肉なことに、今となって言えることだが、数少ない亀戸グランドセイコーの名作輩出率は高い。
それぞれの「工場マーク」の違いは下の画像の通り。左が諏訪精工舎のマーク、右が第二(亀戸)精工舎のマーク。前者は「く」を2つ向かい合わせたような形。第二(亀戸)精工舎も似て「く」を2つ繋ぎ合わせたようなマークで稲妻の形にも見える。


今後の予定
今後はしばらく、61GSを購入予定ですので、届きましたら、また随時載せていきます。そのうちの一本がクロノ24(Chrono24)で先日購入したもので、購入に至った経緯はこちらの記事をご覧ください。