Watch Select

カルティエ(Cartier)の「ソーラービート」今更感満載?のソーラー時計はアリかナシか?

初めて耳にする人は、少々衝撃を受けるかもしれないが、あのカルティエがソーラー電池式時計を9月に発売する。(詳細はHPを参照)

これを聞いた時、私ももちろん驚いたし、もちろん失望した。

元々1800年台中頃に宝石店としてスタートしたカルティエだけど、長く時計には力を入れてて、時計好きをも唸らす凝った機械式時計も数多く、一応「自社製ムーブメント」だって作ってるカルティエ。個人的にも、ブルガリと並び欲しいと思える時計を作る宝石ブランドというイメージだったこともあって、今回のソーラーモデルの発表の第一印象は正直ネガティブなイメージを持ってしまった。

現行のタンクは31万200円から

しかし、ちょっと冷静になって考えると「アリ」かもしれないと思えてきた。それは何かというと。

○リーズナブルな価格と意外に長い寿命

今回のソーラーモデルの定価はスモールモデルで28万8200円、ラージモデルで30万3600円(いずれも税込)このラージモデルと同じ大きさの従来からあるクオーツ(タンク マスト ウォッチ)の価格は32万5600円だからそれより2万円以上も安い事になる。(後述のレザーストラップが影響?ちなみに自動巻は44万円)

クオーツのタンク


【美品】Cartier カルティエ カリブル ドゥ カルティエ 黒文字盤 自動巻き/メンズ W7100016

しかも、「タンクマスト、ソーラービート」はソーラー時計なので、基本的に電池交換は必要なくムーブメントユニット寿命は約16年もあるらしい。オーバーホール時には基本新品ユニットに載せ替えとなるはずだから、そこまで16年は基本的にノーメンテナンスで使い続けることができる可能性が高い。つまり16年間、カルティエのタンクが年間約19,000円弱で使えるのであれば、リーズナブルに思えてくる。

ソーラービート(外観は従来のタンクそのもの)

○新技術をひけらかさない美意識

外観で好感が持てるのが、見た目が従来通りのタンク然としていて、というかタンクそのものでありながら文字盤にもソーラー時計であることを一切告知しない潔さ。日本の時計なら当たり前だけど、スイスの時計、しかもカルティエが、ソーラー時計を出すことは革新的な出来事なので、普通なら「solar beat」などと文字盤に入れたくなるところ。しかしカルティエは敢えてしなかったからその美意識はさすがといったところ。カルティエ好きにとってはこの美意識は得点高い。


カルティエ Cartier タンクMC W5330004 メンズ 腕時計 デイト シルバー 文字盤 裏スケルトン オートマ 自動巻き ウォッチ Tank MC 【中古】

○レザーストラップが植物性

革製品にもこだわりと定評があるカルティエが、非動物性のレザーストラップを採用してきたことは、当初は少々疑問だったが、この非動物性レザーストラップ、廃棄するはずのリンゴの端材から出来ているとのことで、それを聞いてしまったらフードロスとか環境問題という側面からも立派としか言えなくなった。非動物性と行ってもそこはカルティエだけに品質も確かなものだろう。これまで思想や宗教的な要素で革ベルトを使えなかった人にとっても、革新的な素材ではないか。

いいことばかりじゃない?「?」な部分もある。

?ソーラー自体は全く新しい技術じゃない

ソーラーをカルティエが出すってこと自体は、衝撃的だけど、ソーラー時計の歴史を振り返れば、その技術自体は1970年台にすでに市販化されており、長くソーラー時計を作ってきたシチズンやセイコー、カシオからすれば「今更感」はかなりのものだろう。日本のメーカーならソーラーに加え、電波時計はかなり前から超当たり前で、その他の機能をモリモリ盛り込んでも、20万円も出せば上位機種が買えてしまう。今回のソーラーはカルティエがやったからこれだけニュースになるが、普通に考えれば単独だとかなり時代遅れの技術で、それに比べたら、リンゴの端材のレザーストラップの方が個人的には驚きが大きい。

?ムーブメントの交換費用

カルティエの時計をオーバーオールに出すと、一部の機械式やクオーツのムーブメントは、分解清掃ではなく、ムーブメントごとの交換になる場合がほとんどみたいだけど、ソーラーのムーブメントでも同様だとすれば、その費用が気になる。元々の定価がクオーツより安いので、同様若しくはもしかしたら安くなるかもしれないが、未知数だけにちょっと不安もある。ちなみにカルティエジャパンに問い合わせたが、発売前なので、メンテナンス費用については、お伝えできない。との回答であった。

?ムーブメントはどこかのOEM?

開発にはほぼ間違いなく、どこかの会社のパックアップがあったものと推測するが、さらにもしかすると、完全OEMの可能性もある。例えば、○チズンとか○イコーとか○シオとか・・・もしそうだとすると少々興醒めでは?まあそこは知らない方がいいこともある情報ってことで・・・

?これ以上は広げないでほしい

リシュモングループでこのソーラーウォッチが蔓延するのは個人的にやめてほしいと思っている。少なくともカルティエは元々宝石ブランドなので、まあいいけど、IWCとかましてやバシュロンとかがソーラーウォッチ出しました〜ってニュースは絶対見たくはない。

最後に・・・

とりあえずの感想を述べてみました。結論、冒頭に「アリ」かもしれないと言ったし、決して悪くはないと思うけど、やっぱり個人的には買わない可能性が99%。まあ知り合いの女子から「なんかいい時計ない?」って相談されたら、「ソーラーだし、電池交換いらないし、どお?」って勧めよっかな〜。



ABOUT ME
すんすん
高校生の時に図書館で「男の一流品図鑑」を見たことがきっかけとなり、以降時計収集の趣味に目覚める。これまで所有した機械式腕時計は100本以上。過去の成功や失敗を生かし「後悔しない時計選び」をアドバイスさせていただきます。 ・古物商資格(時計・宝飾品石商) ・潜水士

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です