「さあ、腕時計を買おう」と思っても、
何百とある時計ブランドの数千あるモデルから最良の一本を選ぶことは意外と簡単ではないですよね。
私もこれまで数多くの腕時計を購入し、少なからず後悔し、少なからず成功しながらもいまだに理想の腕時計を探し求めているが、多分まだしばらくは続きそう。
これまでの経験から後悔しない腕時計選びのために条件について考えてみました。
条件1:時計ブランドとして必要な条件を満たしている
腕時計においてはブランドがかなり重要な要素となります。
しかしよく耳にする「ブランドもの」とか「ブランド品」とは少々ニュアンスが異なります。腕時計界における「ブランド」=歴史、技術、信頼性、機能性、独創性、時計としての美しさ、エピソードなどにより構築されているのです。
例えば、通常ハイブランドと聞いて連想しやすいエルメスやルイヴィトンが時計界においてもブランド力があるかと言えばそうではないと思います。これから挙げる時計ブランドとして必要と考えられる条件のどれをとっても決してレベルが高いとは言えないからです。
【時計ブランドに必要な条件】
- 歴史・・・創業の古さよりも創業してからブレずに一貫したコンセプトで続けてきたか。
- 技術・・・独自の技術で勝負してきたか、またその努力をしてきたか。
- 信頼性・・精度や壊れにくさには定評があるか。
- 機能性・・個々の時計の用途に合わせた機能が明確かつハイレベルなスペックを持ち合わせているブランドか。
- 独創性・・そのブランドが「一番」の何かがあるか。過去にオマージュ作品を作っていないか。
- 美しさ・・デザイン以上に「機能美」を感じるか。
- エピソード・・歴史の中で何か語れるエピソードはあるか。※月面着陸、世界初の○○など
これらをある程度のレベルで満たせていれば「買っていいブランド」となります。
条件を満たす代表的なブランドは下記の通りです。
- ロレックス
- パテックフィリップ
- オーデマピゲ
- バシュロンコンスタンタン
- A.ランゲ&ゾーネ
- フランソワポールジュルヌ
- モーザー
- ブレゲ
- ブランパン
- ピアジェ
- ショパール
- オメガ
- タグホイヤー
- IWC
- パネライ
- グランドセイコー
- リシャールミル
- ウブロ
条件2:機械式であること
私も稀にクオーツ式や電波式の時計を買うことがあるが、基本的に機械式時計しか買わないようにしています。
それは、末長く使用できる点、資産価値としての要素、未だに電子部品を使わない機械式時計が持つ魅力から正確な時を知る以上のロマンがあるからです。
機能が充実した時計が比較的安価で手に入るこの時代にあえて高額で精度の良くない機械式時計の魅力を十分に理解できる方にのみお勧めしたいと考えます。
このことについては、これまでも一貫してお伝えしていることからここでは多くは言いませんが、とにかく基本は機械式時計から選んでいただきたいのです。もし、そこに魅力を感じないのであれば、G SHOCKかApple Watchをお勧めします。

条件3:無チューニング汎用ムーブメントでないこと
無チューニング(装飾や専用部品を用いない吊るし状態)の汎用ムーブメント(いわゆるETAポン)はできるだけ避けたいと考えています。
かといって「自社製ムーブメント」が正義とも限らないのは、「自社製ムーブメント」の定義は難しいものがあるので、自社製にこだわり過ぎることも危険なのかもしれない時もあるからです。
70年代後半から90年代にかけては SEIKOのクオーツ市販化により引き起こされたクオーツショックの影響と名残により、多くのブランドが、生き残りをかけて結束し、グループを作ると共にETAなどから供給された汎用ムーブメントを多く使用するようになった。そのため80年代、90年代の時計は自社キャリバーが使われていないことが多いです。しかしその反面、ETA以外の少々マニアックなムーブメント、例えばレマニアやジャガールクルト、ジラールペルゴといった高級メーカーのムーブメントを載せた今となっては信じられないような時計も事実存在します。

条件4:スクリューorネジ留めの裏蓋がいい
これはあくまで個人的な意見なのですが、私は薄さを追求したようなエレガントな腕時計は基本しないことから、スナップバックの時計は原則的に買わないことに決めています。
構造上開ける際に傷がつきやすく、固着した場合に無理な力を加えれば裏蓋やケースの変形を招くリスクがあるからです。もしスナップバックの時計を購入した際は、自分で開けたり、非正規店での修理をしないことを強くお勧めします。
過去に新品の時計(クオーツのスナップバック)を街の時計屋さんに電池交換を依頼したところ、ガリガリに傷つき裏蓋が変形した状態で帰ってきたことがあった苦い経験からもスナップバックにはいい思い出がないのです。
実用時計の最高峰ロレックスがほとんどのモデルにスクリューバックを採用するのももしかしたらそういった理由なのかもしれません。

条件5:スイス製、日本製、ドイツ製、フランス製のいずれかであること。
精密な機械である腕時計にとっては製造国も重要な要素の一つとなります。
一番わかりやすい時計に対する拘りは製造国がまず初めに反映されているからです。
現在においては、スイス、日本、ドイツ、フランス以外で作られた信頼性や芸術性が高いちゃんとした時計を少なからず私は知りません。
「made in ○○」の記載がない場合は製造国を詳しく調べたほうがいいと思います。
まとめ
決して安くない腕時計ですので、せっかく買うなら後悔しない選択をしたいですよね。
腕時計人気が高まりすぎて冷静に考える暇(いとま)がない場合もありますが、決断をすぐしなければならない突然の出会いであっても少し冷静になり、本当に後悔しない、損しない時計なのかなど最善の判断をしたいものです。