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確認必須 アンティークウォッチ購入時の注意点

「古いものは古くならない」という言葉のように、年代もののアンティークウォッチには新品の時計とはまた違う魅力があります。

しかし、個体差も激しく専門知識もより必要になるため敷居が高くなります。また、特有の落とし穴も存在。購入に際しては、それなりに注意が必要となってきます。これから勇気を持ってアンティークウォッチの底なし沼に足を踏み入れたいモノ好きの方は、この記事を参考にしてください。

アンティークウォッチ購入に際して確認すべき事項

①文字盤の状態

アンティークウォッチで、まず気をつけたいのは文字盤の状態です。経年によるダメージが一番反映されやすいのは意外にも文字盤なのです。ケースと異なり研磨ができないので、多少の修復であってもリダン扱いとされてしまい、それだけで価値が大幅に下がります。時計が古くなると、文字盤単独での入手も困難ですので、アンティークウォッチの購入を検討する際は、まず文字盤の状態からチェックしましょう。ネットや資料でオリジナルの画像と見比べ、違和感を感じるようであればリダンを疑った方がいいかもしれません。

・不自然にキレイすぎる
・純正には無い文字盤色
・文字盤にあるはずの細かい字などが消えている
・インデックスなどがどこか手書きっぽい

こんな時もリダンを疑った方が賢明なようです。

②フランケン・ガッチャではないこと

社外品やモデル違いなど、寄せ集めのパーツを組み合わせた時計は、「フランケン」や「ガッチャ」と呼ばれます。ケースの年式と文字盤の年式がチグハグであったり、裏蓋を開けてみたら、違うモデルのムーブメントが入っていたり、社外部品が使われていたりと、裏蓋を開けたりすれば、比較的わかりやすいですが、知識がないと見破れない可能性もあります。「この年代にはこの文字盤、このムーブメント、この秒針」など同モデルでも年式ごとの特徴を事前に理解しておく必要があるでしょう。

フランケンやガッチャはある程度悪意を持って作られる場合が多いので、それが時計ショップで、その事実が一度でも発覚していれば、そのショップは信用されなくなるはずです。口コミでそのような過去があるショップでは購入しない方が良いでしょう。ネット上に下記のような口コミのショップもありました。事実なら怖いですね。

③コンバート(マリアージュ)ウォッチは避ける

コンバート(マリアージュ)ウォッチと呼ばれるものには、さらに悪質なものも多く存在。大昔の懐中時計から取り出したムーブメントを中華製の怪しいケース(懐中時計ベースだけに、ケース径がやたらとデカい)に入れ、リダンを超えた完全に社外オリジナルの文字盤などを組み合わせた極めて偽物に使い代物が、◯ルカリや◯フオクで実際に売られています。ムーブメントを中心に一部そのメーカーの部品を使っているため、完全には偽物と言えないせいなのか、法的にもサイトの運営側も取り締まることができないようですが、私は、極めて偽物に近いと思います。いろいろな意味で無価値なので、騙されて購入しないことを強くお勧めします。そもそもオリジナルでないので、デザインもバランスが悪くてダサいので、すぐ分かると思いますが、売る側は、あたかもそのブランド純正かのような説明を前面に売っていることがよくあるので注意してください。

④メンテナンス体制の事前確認

半永久的に修理やパーツ提供をしてくれるパテックフィリップをはじめとする一部のメーカー(ブランド)を例外に基本的にメーカーの保証は切れていることは当然、有償修理であっても受け付けてもらえないということを事前に理解したうえ、信頼できるメンテナンス先を確保しておく必要があります。一方個体によって修理をしてもらえるか否かが決まるパターンもあるようです。例えば◯桁のロレックスは 日本ロレックスで修理やオーバーホールを受け付けてもらえないと一般的にされていますが、たとえ◯桁であっても、過去の履歴や歴史(新品からずっと日ロレでオーバーホールしてきたなど)により受け付けてもらえる場合があるともされています。(真相は不明)ですので、もしメーカー保証やメンテナンスが受けられない場合、それらをメーカーに代わり行ってくれるショップを確保しておく必要やその個体がどんな素性であるかを事前に知っておく必要があります。



知識をつけるか、信頼できるショップを探すか

特にリスクが高くなるアンティークウォッチにおいて、知識がないモノには手を出さない方がいいです。新品のロレックスであれば見つけ次第即購入しても後悔することはまずないですが、アンティークは状態や真贋など新品よりかなり神経質になります。かといって全てのメーカーの全ての各年代の各モデルのことを事細かに知ることは正直困難ですし、できるようになるためには多くの経験と年月を要します。よって、とりあえずはこのメーカー(ブランド)のこの年代に特化して知識をつけ、その後広げていくといった形から始めた方がいいでしょう。もしくは、ちゃんと豊富な知識を持ち信頼ができるショップで、丁寧に説明を聞き、納得して購入すべきです。



にわか的な興味本位であまり知識もないまま手を出すと高確率で痛い目をみることは、私が実践済みなので。事前学習にはネットもいいですが、書籍化されたものからの情報の方が信憑性は高くおすすめです。できれば当時のカタログなども確認することができると尚良いと思います。

予備パーツも確保しておくといい

長く所有する予定や、孫の代まで引き継ぐ計画の時計なら、心配な部品などスペアパーツを用意しておくと安心です。私も現時点では特に必要はないけど、二度と買えない部品が良い状態で見つかった時にはなるべく購入するようにしています。

ただ、闇雲に集めたパーツで修理等を行えば、フランケン化してしまうリスクもあるため、正確な年式やモデルを把握し、それにあった部品を準備しておくことが重要です。例えば、同じ頃の同じモデルの腕時計でも、年によって使用されるパーツが違っていたりすることがよくあるので、使用する部品に矛盾が生じることのないよう注意する必要があるのです。

フリマサイト等での購入はハイリスク

私も、◯ルカリ、◯フオク、などのサイトにて時計を物色することがあります。確かに価格が相場より安く買えるメリットがありますが、現物を確認できないし、また素性のわからない物件が多く転がっていますので、買う前にわかる情報と買ってから分かる情報の質と量に大きな差が生まれやすいです。ネット上にある少ない情報量だけで、買いか否かを正確に判断できるだけの審査眼がない限りあまりおすすめはしません。モノが超アナログだけに、アナログ的に実際に足を運び、しっかり観察と確認を行った上、納得し購入することがベストです。

どうしても手に入れたい時計をネット上で見つけてしまうと視野が狭くなりイチカバチかで買ってしまうことも事実ですが、高い率でハズレをひいいてしまうことも実際ありますので。

良い出会いができた時の喜びは新品以上

アンティークの最大の特徴は、二つと同じ状態のモノが存在しないことです。同じメーカーの同じ年式の同じ時計であっても、かなり個体差が大きくなっています。特に古い時計なので、製造された当時からの個体差や経年の補完状態や使用状況などで、同じ時計とは思えないほどの差があることも。

しかし、逆に最高の出会いにより、二つとない良い状態のモノやレアなモノをを手に入れ所有する喜びは、新品のロレックスとはまた違った喜びがあり、それもまたアンティークウォッチの魅力です。

おすすめの入門編アンティークウォッチ

これから底なし沼に足を踏み入れたい方のために、普段使いができて、比較的安い。また偽物などを買ってしまうリスクのなるべく少ない入門編のメーカーを選びました。と言っても底なし沼だけに奥行きは果てしなく深いのでご注意を。

①オメガ・・・昔から国内の人気が高いメーカー。故に球数は、国内にも比較的多く存在するので、状態の割に比較的常識的な価格で買えるモノが多いです。10万円以下でも比較的良質な時計が売られています。予算を抑えるなら、シーマスターならコスミック、コンステレーションなどがおすすめです。スピードマスターなら5th(第五世代)が趣味性と価格のバランスがいいですが、それでも最近は結構なお値段がついています。


川崎店【OMEGA/オメガ】SPEEDMASTER/スピードマスター・プロフェッショナル/5th初期モデル/Ref.145.022-69/Cal.861/1970年製/w-26104

②セイコー・・・とにかく種類(メーカ内のチャンネル)が豊富で、日本の時計ゆえに、古くとも未だに国内に多くの在庫があります。運が良ければデッドストックに出会えることも。高級実用機グランドセイコーでもモノによっては10万円以下から狙えますし、元々の信頼性は折り紙付きです。グランドセイコーであれば、44GSなどは人気があり高いので、最初の一本なら56系など球数が多く状態の良いものでも比較的安価で売られているのでおすすめです。ただ、海外での人気も高く、良い個体が国外に流出する傾向があります。良い個体を見つけたら今のうちの購入しておきましょう。オールドグランドセイコーにについてはこちらも参考になるかと思います。


【SEIKO】セイコー グランドセイコー Cal.5646A デイデイト 5646-8000 自動巻き メンズ【中古】

③IWC・・・いわゆるオールドインター。過去に日本でも高い人気を博したこともあり、国内の在庫も意外に豊富です。今はない筆記体ロゴもかっこいい!ムーブメントのメンテも比較的容易で、取り扱いも比較的神経質にならず済みます。インヂュニアなどのペットネームが付くと急に高価になる傾向があるので、無名の「シャフハウゼン」がおすすめ。10万円台でも狙えます。


川崎店【IWC】筆記体ロゴ/Ref.1819/サカナリューズ/Cal.8541B/1973年製/w-26522



ABOUT ME
すんすん
高校生の時に図書館で「男の一流品図鑑」を見たことがきっかけとなり、以降時計収集の趣味に目覚める。これまで所有した機械式腕時計は100本以上。過去の成功や失敗を生かし「後悔しない時計選び」をアドバイスさせていただきます。 ・古物商資格(時計・宝飾品石商) ・潜水士

POSTED COMMENT

  1. ジョンソン・リキウル より:

    まず「敷居が高い」の意味を理解した方がよろしいかと存じます。

    • すんすん より:

      ご指摘ありがとうございます。
      ネットで調べて、正しい意味で使えていないことを認識しました。
      お恥ずかしい限りです。

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