「ロレックスがまた値上げをしました。・・・」というニュースに私自身の反応が鈍麻してきた。これだけあらゆるものの物価の高騰や円安が続けば仕方ない・・・という感覚が時計にも。なんだか当たり前になりすぎて、驚きもしないし、たいした危機感すら覚えなくなってきた。
ロレックスをはじめとする高級時計の価格を、今と昔で定点的に比較すれば、改めての驚きや落胆も生まれるのかもしれないが、じわじわと価格を上げられることが常態化すると、何とも感じなくすらなる。いわゆる「ゆでガエルの法則」かもしれない。定価が上がろうが下がろうが、定価では買えない。（買うためには相当量の時間的、肉体的労力が伴うことが一般的）なので、プレ値購入反対派だった私も、あまりにも手に入らないので、エクスプローラーⅠを「プレ値」で購入してしまったわけだが、冷静になってみれば定価約９０万円（現在の定価）の時計をその約1.5倍で購入することはバカげていると、ふと思えてくることも。最近はデイトナは相場が下がったので。ピーク相場時のプレ値段で購入した人を不憫にすら思うのだが、それは私の庶民感覚ゆえのことだろうか。
本題に入り、「じゃあ、現時点でロレックス以外を買えばいい」と思っても、欲しい時計でプレ値じゃない、若しくは、店頭に行きすんなり買える時計を探すもの一苦労。そこで、「今なんとか買える」を含む「最良の時計」を価格帯ごとに考えてみる。
なお、ロレックスプロフェッショナルモデルの平均的な入手困難度を★★★★★として比較。
予算300万円 パルミジャーニ・フルリエ トンダ
まずは、300万円あるならこれ。パルミジャーニ・フルリエ トンダPFマイクロローター 複雑すぎて誰も修復できなかった1845年製のブレゲの「シンパティック・クロック」を修復してしまった、「神の手」を持つミシェル・パルミジャーニが、1996年にスイスで創業した比較的歴史の浅いが、その品質や実力は折り紙付きのマニュファクチュール。以前正規店で、実際に手に取って見て来ましたが、少々大きく感じるケース径も実は常識的40mm。時計としての本質的な美しさ、手に取っただけで伝わって来るモノの良さ、ムーブメントのパーツ一点一点へのこだわりがオーラとなり滲み出ている。裏スケから観察できるムーブメントはマイクロローターなので、手巻き時計のごとくムーブメントの全容が眺められることも普通の時計ではない雰囲気で好印象。１点気になることがあるとすれば４８時間のパワーリザーブをどうとらえるか。いずれにしても、「神の手を持つ男」の語れるエピソード満載ブランドの、ノーチラスやロイヤルオークなどにも引けを取らない現在でおすすめの１本。→【入手困難度★★★】2022.9.6時点、予約はできるが、入荷時期は未定で、かなり予約が入っているそう。予約ができるだけマシだけど、いつ予約すらできなくなるかが怖い。
予算200万円 ブランパンFFバリスカーフコンプリートカレンダー
次に200万円あるならこれ。ブランパンフィフティーファゾムスバチスカーフコンプリートカレンダー（5054 1110 NABA） 。ダイバーズウォッチにムーンフェイズやコンプリートカレンダーを搭載したおしゃれすぎるブランパン。これをしていればかなりの時計通ということは一目瞭然。複雑機構搭載のダイバーズで、ブランパン製という内容を考えれば決して高くないとすら思えてくる１本。カジュアルでもスーツでもこなすオールラウンダー。この機構と文字盤ながらＮＡＴＯストラップ（それ以外もある）という一見ミスマッチがなんともいえない。→【入手困難度★★】2022.9.6日時点。とある正規店では在庫はないが、メーカーに若干の在庫があり、購入前提で取り寄せが可能でした。このご時世まだ在庫があること自体が不思議。正直これほしいです。
予算100万円 オメガ シーマスター300M 007エディション
続いて100万円あるならこれ。オメガ シーマスター３００M００７エディション 私も所有する本作は、言わずと知れた映画００７「ノータイムトゥーダイ」でジェームズボンド（ダニエルクレイグ）が実際に着用した時計。チタン製で驚くほど軽く、やたらと男らしく、とにかく無骨でかっこいい。しかし、度重なる値上げと「おいおい、映画がおわったのにいつまで売るんだよ！」というネガティブ要素も少々生まれつつある？が。（改めてオメガのイメージは、収益を優先していることをあからさまな感じがしてしまう。この辺がブランディング優先のロレックスとは少々雰囲気がちがう・・・）まあいずれにしても魅力的な時計であることは間違いない。→【入手困難度★】2022.9.6以前はかなり品薄で数か月待ちでしたが、今では公式ページからオンラインで購入できるみたい。おもったより販売期間が間延びしている点はオーナーとしては正直いやです。
予算50万円 チューダー ブラックベイプロ
予算はリーズナブルな領域に。50万円あるならこれ。チューダーブラックベイ・プロ ロレックスのエクスプローラーⅡにほぼほぼ似ているが、こちらはリベットブレス仕様も用意されるよりクラシックな雰囲気と本家より小径な39ｍｍケースが魅力。ロレックスの雰囲気を本家の半額以下の価格と、少なくともロレックスよりは低い入手困難度で手に入れられるありがたい存在。目の前でロレックスを見せられても劣等感を感じない人、新品でも使い込んだアンティーク時計のような雰囲気を好む人、アウトドアが好きな人におすすめ。→【入手困難度★★★★】2022.9.6時点とある正規店では月に約２本程度の入荷ながら毎日５～１０件の問い合わせがあるそう。予約はできないそうなので、ロレックス同様マラソンコースですね。
予算30万円 セイコープロスペック SBDX023
セイコー｜SEIKO 【機械式時計】 プロスペックス (PROSPEX) メカニカルダイバーズ SBDX023【国内正規品】
３０万円あるならこれ。セイコープロスペックスSBDX023 グランドセイコーの名機９Sムーブメントと基本構造を同じとする8L35を搭載してパワーリザーブも50時間とまあまあ。そしてなんといっても「飽和潜水時計」と完全にプロ用の性能を持ち合わせる。おすすめは「X」ロゴのない先代モデルSBDX017だが、すでに廃盤なのでこちらを。外観、質感ともに完全に道具に振った時計だけど、逆にそこに魅力を感じる人にはおすすめ。→【入手困難度★】2022.9.6時点 ネットショップでポイント還元を利用してお得に買えればさらにコスパが高くなる１本。逆に入手困難度が低すぎて「いつでも買えるから今は買わない」となってしまうかもです。
予算20万円 ミドー オーシャンスターGMT
２０万円あるならこれ。ミドーオーシャンスターGMTはっきり言って無敵のコスパ。だって８０時間のパワーリザーブの自動巻き（キャリバー80）に、200ｍ防水ダイバーで、しかもＧＭＴ機能がついて、１５万円台から買えちゃう。ＥＴＡを傘下にしている現代のスウォッチグループメーカーの入門機たちはコスパが恐ろしいくらいいい。ちなみに重さは125ｇ→【入手困難度★】2022.9.6時点 はっきりいって、いつでも・どこでも買えちゃいます。
予算10万円 シチズンプロマスター NB6021
７、10万円あるならこれ。シチズンプロマスターNB6021-17E 10万円以下ながら、自動巻き、200ｍ防水、チタンケース、サファイアガラスと時計好きに求められそうな最低要件を満たす１本。パワーリザーブは42時間なので、もう少し長いと完璧。おすすめは間違いないですが、あと５万円ちょっと出せばミドー買えるからそこはちょっと・・・。ただ、チタン製なので軽い時計が好きな人や機械式時計の最初の１本、アウトドアがガンガン使いたい人にはおすすめ。（75ｇしかない）→【入手困難度★】シチズンとしては珍しい機械式のダイバーということで人気があり、少々品薄気味のよう。でも現状で入手が困難というほどではなさそう。
